前回から引き続き、ドゥンドゥンの理解を深める為のコツです。
初心者の方にドゥンドゥンを教えようとするとよく
「バラバラに右と左を動かす事が出来ない」と言う答えが返って来ます。
確かに(右利きの人の場合)左手でベルを叩き、右手で太鼓の打面を叩いているので、
一見、左右バラバラの動きで叩いている様に見えますが、
実は左手のベルはパルス(リズムの最小単位)を刻んでいて、
右手のバチで打面を叩く時、その音は左手のベルの上に乗っかっています。
(テクニック的な例外もありますが、9割以上がこの法則です)
つまりドゥンドゥンは左手のベルさえ覚えてしまえば、
後はそのパルスの何処かに右手のバチを合わせれば良い。という事。
しかも、ベルのパターンは基本2つしかない。
チッ と チチッ。
1発か2発かのみ。(こちらも例外ありますが、9割はこの法則でいけます)
この組み合わせで、実に多くのリズムが出来ている。
小さな「ッ」は休符の意味。(なので、実際には叩いてる訳ではなく、前の音の余韻)
1発でも2発でも打った後に休符が入る。
マンデン系のドゥンドゥンはほぼこの法則に従って出来ています。
具体的に例えば、
ソファ(SOFA)のケンケニは
↓
1 2 3 4
ベル チッチチッチチッチッチチッチチッ
バチ けけん てぃ けけん てぃ
そして、
カサ(KASSA)のケンケニは、
↓
1 2 3 4
ベル チチッチッチチッチチッチッチチッ
バチ けけんてぃ てぃけけんてぃ てぃ
1 2 3 4 とはカウント事、リズムを聴いて自然と手拍子を叩く場所。
4に行ったら、また1へと返って行きループする。
4つのカウントを埋めているベルは全て4文字(休符も含めて)。
つまり4/4拍子となる。
「けけん」はケンケニのオープン音。「てぃ」はケンケニのミュート音。
そして↓の下からベルパターンを見てみると、
どちらのリズムのベルパターンも始まる場所が違うだけで、
パターンとしては同じ事をやっている。
もう少し、リズムを見てみると、例えば
ドゥンドゥンべ(dundungbe)と言うリズムのサンバンは、
1 2 3 4
ベル チッチチッチチッチチッチ
バチ きゅ ぱん
ドゥンドゥンべ(dundungbe)と言うリズムのドゥンドゥンバは、
1 2 3 4
ベル ッチチッチチッチチッチチ
バチ ん どどんどど
今度は4つのカウントを埋めているベルは、3文字なので3/4拍子(6/8)となる。
「きゅ」はサンバンのミュート音。「ぱん」はサンバンのオープン音。
「どどん」はドゥンドゥンバのオープン音。
こちらも「チチッ」の連続で、ベルパターンのスタートのズレを、
「絡み」として聴いて、そのまま進行してゆく。
ベルを叩く時、鉄製の棒で叩く場合と、鉄のリングをぶつけて叩く場合がある。
鉄製の棒は、ベル本来の音を優しく表現しやすく、
ベルの絡みを重要視する部族達が使う場合が多いように思う。
鉄のリングはスピードに対応しやすいので、ショー的要素の
多いバレー団などで使われていたり、直接親指にはめて演奏する部族もいる。
ベルスティックもバチもどちらも力を抜くことが大切。
ギュッと力を込めてしまうと、跳ね返りが無くなり、動かすのが大変になります。
室内でも叩くことの多い日本では、自分の耳にも、ベルや牛皮にも優しく叩く事
を心掛けると良いかもしれません。
実際、上手な人のバチさばきを見ていると、滑らかな円運動になっています。
肩、ひじ、手首を連動させて、鞭の様にバチ先を打面に当てます。
そのバチ先の動きを見てみると、よく分かるかと思います。
円運動=動きが止まる時間が無くなり、バチ先に遠心力も加わりる事で、
少ない力で、スピードと大きな音を得ています。
ちなみに、ドゥンドゥンにはそれぞれ、オープンとミュートの二つの音があり、
上で説明したとおり、力を抜いて叩くのがオープンサウンド。
こちらは、トラポリンのイメージそのままに、バチが打面に当たった時、
皮の反動を素直に貰って、打面の皮を最大限に揺らす。
それと対極なのが、ミュート、クローズサウンドと呼ばれる奏法で、
「叩いた皮を揺らさない」状態を作る事で、その音を得る。
つまり、叩いた後バチ先が跳ね上がらないように、バチを固定するのだが、
よく、ミュートになると打面に対して45度くらいの角度から、
手首を固定させたままバチを突き立てる人もいるのだが、
これは、皮にも手首にもよくない。
感覚的には、叩くというより「置く」感じにする。
皮が打面に当たる瞬間に、バチを握ってる手をぎゅっと握るようにする。
すると、打ち付けられた皮は少し内側に凹み、押し付けられたことで、
行き場を無くした音の振動が、筒自体を震わせる。
皮を震わせて出すのがオープンサウンドなら、
筒(太鼓ボディ)を震わせて出すのがミュート。
皮の張力が高まり、太鼓内部の空間も少し狭くなる事で、
音程はオープンサウンドよりも高めに聞こえる。
ドゥンドゥンを叩く時の心得
1、ドゥンドゥンにはそれぞれ、リズムの鼓動、骨格、肉付けという
役割があるので、もしどれかが止まってしまうと、
全体のリズムとして機能しなくなってしまいます。
ジャンベ以上に責任と忍耐力を持って叩きましょう。
2、ジャンベ奏者やダンサーは、ソロ以上にドゥンドゥンを聞いています。
みんなに聞こえるように叩きましょう。
3、時に、誰かが話をしたり、歌を歌っているなら、
その声が聞こえるように、自分の音を抑えましょう。
4、キープすることに慣れてきたら、ドゥンドゥン、サンバンは
積極的にアレンジを入れてみよう。
一辺倒にならないことで、周りの反応が変わってきます。
5、道具を使って、叩く楽器なので、道具の使い方に慣れましょう。
楽器がなかったり、家で練習したい時はお箸で空き缶を叩いてみよう!
ガムテープを打面に貼ってミュートすると、うるさくないよ。
以上、とりあえず今思いつくものを書きました。
ドゥンドゥンへの興味が深まったら、これ幸いです。
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