ジャンベ。僕がその楽器とであったのは17年前、品川の民族楽器屋さん。
当時、僕は叔父からもらったチケットで韓国のストンプ「NANTA」の講演を見て、
リズム面白いかも?と友人を誘い空きカンや廃材を拾ってきて、
いくつも並べ叩いたりしながら、理想の楽器を探していた。
一本の木をくり抜いたゴブレット状と称される何とも艶かしい形と、
まだ見ぬ謎の大陸アフリカを連想させるような、ヤギ皮の匂いと、
そして、身体の芯まで響く低音と、目が覚めるような高音を出すその楽器に
一発で魅了された。
「これ一台で、ドラムセットになる」
そう思い、その日もらったバイト代すべてを費やし、ジャンベを購入。
帰りの満員電車の中で、ジャンベを抱きしめながら、
生きてく上のパートナーやペットを手にした喜びのようなものを感じていた。
実際ジャンベは、僕に多くのものを与えてくれました。
まずは、アフリカという遠い、未知なる国が少しだけ身近になり、
挨拶すら分からなかったアフリカの未知なる文化、音楽も学ぶことで、
0才からの成長の再体験ができた様に思う。
目の前に伊藤ヨーカドーとハンズが見えるマンションの11階で育った僕が
知らなかった、地域に伝わる祭事の持つ心の拠り所感や、
そこに向かって行く人間のエネルギーを知る事が出来たし、
木と動物の皮、ロープ、鉄だけで作られたその楽器は、存在自体で、
音色で、リズムで、地に足をつけてくれるような装置な気がする。
そして、真剣にアフリカのリズムを学んで行くと、
一つの言語を覚えている様な喜びがある。
それを実感したのは、トランジット中のフランス、パリの公園でジャンベを
叩いている人を見つけセッションをさせてもらった時。
勿論、初めましての人達だったけど、リズムは「ダンサ」。
マリで習ったことのあるリズムだったので、ピッタリ終ることが出来た。
初めて見た人は「あれ?なんで?」となるけど、そこにはルールがあるから、
そこを押さえておけば、誰とでも音楽的な会話が出来るのです。
ご存知、世界的なジャンベプレイヤーのママディ・ケイタ氏が、その仕組みを
世界に向けて発信してくれたため、現在は世界的にそのルールが広がっている状況。
だから、ジャンベのリズムを叩けるようになると、
世界中の人達と会話できるようになるのと同じ事になる。
音楽に国境はない。。。。
「そんなのジャンベの玄人が言いそうな言葉だよ」とお思いの初心者の皆さん、
安心して下さい!
ジャンベ音楽は一つのリズムを覚えただけでも、
その場、音楽、を作る事が出来るので、
リズムのバリエーションはそんなに必要ありません。
勿論、やって行けばどん欲に色んなリズムが欲しくなるとは思いますが、
基本は、楽しむパッションをリズムに乗せれば良いと思います。
複数でアンサンブルをすることで、相手の声を聴く事、
自分の声をしっかりと主張する事、思いやる気持ち、ユーモア、お茶目さ、
合った時の気持ちよさ、合わないときの不快感など、
自分自身に対しての気付きも、人間関係での学びも直接感じる事ができます。
電気を使わなくても、1人の人から大勢の人まで、心踊らせる事の出来る
ポテンシャルを秘めたジャンベ。
しかしここ狭い日本では、遠くに届いてしまう音が、
逆に叩ける場所を少なくしてしまっているという現実があります。
でもジャンベが導く方へ向かっていけば、
同じように、叩く場所を探しに来た人と出会う事でしょう。
僕も今、周りを見渡せば、ジャンベが繋いでくれた友だちばかり。
ジャンベは、人と人を引き寄せてくれる引力もあるんです。
そんな良い事だらけの楽器、ジャンベを是非おすすめします。
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