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ヤギの毛剃りとアドバイス

ジャンベに、ンゴニ、どちらもヤギの皮を使って作っている。
なので、ヤギ皮を扱う機会というものが結構ありまして。。。
そもそも、ヤギ皮はこんな状態で僕の元に届きます。

命を全うしたヤギから皮を剥ぎ、内側の脂肪や血管などを取り除き、
よーく乾燥させた状態になっている。

それを、再び使う時にはその皮を水に漬け込み、戻し、柔らかくする。
その状態から、さらに
「楽器用の皮」に生まれ変わらせるために、毛を剃る作業をする。
初めから、剃られた状態で乾燥させて、手元に届く場合もあるが、
流れ作業で、剃られた皮には、無責任な剃り傷が付いてることも多く、
一概にどちらが良いとは言えない。

 で、この毛剃りの作業なのだが、なかなか勇気と経験が必要な作業である。
皮を削らずに、毛だけを取り除くのには、慎重さを欠かすことの出来ない作業だ。
そもそも、毛剃りに使われる道具は刃物である。

それも、カミソリの刃だったり、カッターの刃だったり、
刃そのものを持って作業するので、心理的トリガーが発動し、
いつも以上に不器用になるものなのだ。

しかし感覚的に、怪我をしない持ち方、刃を当てる角度、スピード、方向など
が分かってくると、毛はいとも簡単に皮から離れていくようになる。。
木工しかり、「削る」という作業は不思議と、動かす手とは別次元に
だんだんと自分の内面を掘り出す作業になっている様に、
色々な考えが頭をよぎるものである。
僕は一種の瞑想の様な、この毛剃りの時間が結構好きなのである。

さて、先日毛剃りをしていたら、新品の刃がなくなってしまいました。
仕方なく、切れ味の悪いカミソリをそのまま使い続けたら、
何箇所も剃り傷をつけてしまいました。。。
 そこで、近所の薬局に行って新しい刃を買いに行き、切れ味の良い刃で
剃り直したら、剃り傷が付くことなく、綺麗に剃ることが出来ました。
その時にハッと、
これは「人へのアドバイスの仕方に通ずるものがある!」となりました。

そもそも、人へのアドバイスなんて、
「言葉を使って」その人の何かを変えようとする試みのこと。
お節介極まり無いし、出来ればあまりしたい事では無いけど、
日常の人間関係の中で、
「ああしてほしい」とか「こうした方が良いんじゃ無いか?」とか
人に提案しなきゃいけない場面というのは、まぁ誰にでもあるものです。

アドバイスする動機とは、毛付きの皮でも存在としては良いのだが、
楽器としての皮に生まれ変わらせるには毛を剃らないといけないという、
毛剃りの動機に共通するのです(笑)

それが、アドバイスの矛先が、目に見える事ならあまり問題では無いが、

性格や習慣など、目に見えない内面的な部分に触れるというのは、
それこそ、勇気と経験が必要なのである。
毛を剃る時は、毛の生えている流れをよく見て、
流れに沿って動かす事が大切である。
逆毛では刃は皮に到達しないし、無理に力を入れて、
刃を入れても、皮を傷が付きけるか、穴を空けてしまうことになる。
大抵は、首から尻尾にかけて毛は流れている。
が、肩や横腹、足の付け根と、場所が変わると毛の流れも変わる。
アドバイスも、その問題の原因(毛根)と結果(毛先)を見て、
どうゆう角度からするか?ということで、
響いた後の相手の対応が変わるということ。
毛先だけを、少しずつ削るように剃っていくのは時間がかかるし、
長い間、刃物に晒され続けた皮はそれだけ傷を受けるリスクも高い。
恐れず出来るだけ、一太刀で毛を剃ることが皮剃りの極意だと思う。

それには、ナイフ(言葉)の切れ味も重要だということ。
毛を剃られる(誰かの言葉が刺さる)なんて、
当事者にとってはショックそのものなのです。
後になって「良かった」と思えるかもしれないけど、
その時はただただショックなのです。
だったら優しさという、切れ味の悪い言葉で、何度も何度も擦るよりも、
切れ味の良いナイフ一発で剃り上げた方が、傷なく、立ち直りも早いのです。

つまりは、
そもそも、人にアドバイスなんておこがましいが、必要になった時は、
責任と勇気を持って、相手の核心に一発で触れ、伝えることが、
両者にとっていいんじゃ無いかな?と思ったわけです。

単なる毛剃り、されど毛剃り。

皮を毎日剃っている太鼓屋さんに、
歯に衣着せぬ、切れ者が多いかはまた別の話(笑)




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