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アラカリ印のブインゴニ


 日本に帰ってきて、ババから教わった曲を弾いてると新たな欲が出てきた。
「音(弦)の数を増やしたい!2本、、いや4本増やして12本弦にしたら表現力が上がるんではないか」と。
 昔から何かを作る事が好きな性分で、ババという演奏者であり楽器作りの師匠の下にいた事もあり、何のためらいもなく新しいンゴニを作ってみようと思い立つ。もうこうなると、いても立ってもその事が頭から離れず、頭の中の設計図を紙に描いてみる。
 そう描き進めていく内に問題にぶつかった。ボディーとなるカラバスがない。いや無い事はない、アラカジャで輸入した半割れのカラバスがいくつもある。しかしンゴニは球体の2〜3割をカットして、球体部分を多く残す事によって深みのある低音、倍音が出る。半分のカラバスではコラになってしまう。。。
 「んーー」と考えてるとある事を思い出した。
それはギニアの村にいた時、飲料以外の水は井戸からくみ上げていたのだが、そこの井戸のオケは壊れていたのか、ブイを切ったものをオケの代わりに使っていたのだ。しかも水をより多くくみ上げる為に、球体の2割ほどをカットしていてそのままンゴニになりそうなカタチをしていた。
 ブイなら地元の海でもよく見ていたし、堅いプタスチックでできているはずだから、カラバスよりも丈夫なはず。
「これだー!」と思って、ナイフをもって深夜の海に忍び込み.....じゃなくて、釣り具屋さんや漁師さんを巡り情報収集、結局通販で手に入れる事が出来た。
 本当はそれから作るのが大変なんだけど、その話はまた今度します。

 出来上がったブインゴニは、想像以上に良い出来で(自画自賛すいません)、当時やっていたアフロピーナッツのライブで使い始め、辻堂のエコモでやっている展示販売集団「souk」でも置かせてもらったり、アースガーデンなんかにも持っていってみた。
 しかしながらマイナー楽器。興味深く触っていく人は多いけれど、買うまでにはいたらない。そんな日々の中、山梨の友人からの誘いで山梨にライブに行く事になった。ライブの当日集合して、その場で曲を作っていく過程で、持っていたンゴニの曲もやる事になる。
 ライブは大成功。ジャンベの曲も、ンゴニの曲もその日に仕上げたとは思えない、見る側もやる側も楽しめた内容になった。わいわいと喜び、次の日の帰りがけで、荷物を車に積んでいると、「俺ンゴニ買うよ」と呼んでくれた友人が言う。
 一瞬「?」となったけど、喜びがふつふつと湧いてくる。やはりその楽器を使って、楽しみや喜びを共有する事で、人に伝わっていくんだと。
 だから僕はこの楽器の楽しさを人に伝えたーい!楽しいよー!と。
その後、何人かの友人達が買ってくれたのを皮切りに、本格的にこの楽器を広めていこうという気になりました。
 作品を何点か作っていくうちに、最初の頃の難点も克服してきたり、新しいアイディアが浮かんできたり、完成度も、種類も増えてます。。
 これからこのBlogでも、随時アップしていく予定なので、眺めてやって下さい。
 ちなみに写真は、今自分で使っているンゴニです。このボディーは友人が海で拾ってきたもので、あまりにも表面が劣化していたので、紫色にペイントしてみました。 


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