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カメレンゴニとの出会い

 2009年1月。すっからかんの財布と絶望感の中、僕はギニアのコナクリにいた。
忘れもしない2008年12月31日。年が変わるハッピーな日。
気がつくと、パスポートとその後3ヶ月以上アフリカを旅しようと持っていた軍資金をすべて持っていかれていた。
Happy なはずのNew Yearは最悪のカタチで始まった。
2〜3日、自分の不注意を思い胃を痛くしていたが、話し合う、まして日本語で慰めてくれる相手もいない中、自分一人で立ち上がるしかなかった。
持参したビデオboxの中に隠したALKHAJA(アフリカ雑貨のwebshop)の軍資金はまだある。それなら「この中から可能な事をしよう」と、日本までのチケットを購入し、大使館でパスポートと同じ効力を持つ「帰国の為の渡航書」なるものを発行してもらう。
それまで続けていたジャンベのレッスンも「お金は後で良い」と言う先生の言葉に甘えて、続けさせてもらい、1週間前の最悪の状態から何とか抜け出していた。
心に余裕が出てくると、はばかっていた欲が顔を出す。そういえば僕は今回の旅でジャンベ同様、他の楽器も習得したいという漠然たる思いを胸に旅立ってきたのだ。
その第一候補はグリオ(アフリカの語り部)の代表的な楽器KORAである。その昔、王様が眠れぬ夜にグリオに弾かせたという、何とも美しい音色のアフリカンハープである。 
21本ある弦を巧みに操り、哀愁漂うメロディを奏でる楽器。しかしながら帰国までに残された時間は2週間。KORAを習得するには実に時間が足りないように思えた。
そこで思い出したのが、カメレンゴニというKORAに似た楽器。カタチも演奏方法もKORAに似ているが、弦の数が8本〜12本と少ない分、残された時間の少ない僕にもできるかもと情報を集めた。
しかしながらアフリカは広い。カメレンゴニはマリ、ブルキナファソを中心に使われる楽器で、ここコナクリには演奏できる人は少なく、ましてやカメレンゴニを作れる職人はもっと少ないという。
「新しい楽器の習得」をあきらめかけた時、一緒にジャンベを叩いていたギニア人の友人araiが「自分のバレエ団の中にンゴニをできる人がいるから」と相談してくれた。
翌日araiと一緒に「サーカスデバオバブ」というバレー団の練習に行き、BABAと名乗るグリオと出会う。
 自分の状況を話し、残りの時間、お金のことを伝えると彼はすぐにカメレンゴニを作ってくれるという。3日後、カラバス(ひょうたん)とアンテロープの皮で作られたカメレンゴニが出来上がる。カメレンゴニをやろうと思い立ってから1週間もしない内に、カメレンゴニが手元に出現。
自分の意志とは別物の何かが、この楽器と僕を引き合わせてくれたように思う。
それがぼくとカメレンゴニの出会いである。

コメント

  1. 自分の人生のきっかけとなるときって、
    なんか知らないけど、何か事件が起こるのよね~!!
    何故だろか。。。。。

    私も、
    磯ちゃんと付き合う~っ!てゆうちょっと甘酸っぱ~い日に
    台風の嵐が来て自転車ぱくられたっての思い出した!!

    ノロケタ。てへへ。

    返信削除
  2. おのろけだ!!!
    何だろういい事と、悪い事のバランス取るのかな??
    コメントありがと。

    返信削除

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